事例紹介
News Title 亡き夫が遺した木造アパート、負担が大きく手に負えない
■家族構成と背景
ご相談に来られたF様(70代)はご主人と長男、長女の4人家族。2人の子はすでに独立し、80代の夫は先日、入所していた老人ホームでお亡くなりになりました。A様はお一人暮らしです。
■相談内容
F様のご主人は、地主さんから土地を借りて、長年にわたって賃貸アパートを経営していました。しかし、築60年の木造アパートは10年ほど前から入居者のいない空き家となっていました。
そんなある日のこと、F様のもとに役所から手紙が届きました。この木造アパートの屋根が崩れ落ちてきそうな危険な状態にあり、早急に対処するようにとのことでした。その内容にF様は驚き、心配になって当社までご相談に来られました。
■課題・問題点
しかし、F様自身はこの木造アパートのことについては何も知らず、地主さんのお名前すら知りませんでした。老人ホームに入居中のご主人に確認すると、地主さんはすでにお亡くなりになり、この土地は複数人が相続したが、長年どなたとも連絡をとっておらず、地代も7年ほど滞納しているとのことでした。
建物の解体にどれくらいの費用がかかるのかだけでもまずは把握しようと解体業者さんに見積りを依頼したところ、予想をはるかに上回る金額に愕然としました。地代の滞納と解体費用を考えるとA様の負担は大きすぎて手に負えない状況にありました。
■解決策
この空き家問題は地主さんと一緒に解決するしかありません。
少し時間がかかりましたが、地主さんと連絡を取ることが出来ました。地主さんも問題の解決を望まれていたため、協議をした結果、F様の負担で建物を解体する代わりに地代の滞納分は免除するという内容で合意することが出来ました。
建物の解体費用に関しては、大阪市の解体補助金制度の対象エリア内であったため、これを申請しました。補助金は解体費用の2分の1ほどの支給となりました。
結果的に当初想定していた地代滞納と解体費用の総額の3分の1ほどに抑えることが出来て、F様には大変喜んでいただけました。土地が返還されたことで地主さんにとってもメリットの大きい結果となりました。
■まとめ
今回の事例は借地権付き建物の空き家処分に関する内容でした。
難題の多い底地・借地の問題ですが、今回のように双方の利害が一致すれば、課題解決までスムーズに進めることができます。そのためには双方の円滑なコミュニケーションが重要となります。
底地・借地の問題でどうしていいかわからない、不安だ、とお悩みの方はぜひ当社までご相談ください。
執筆者情報
有限会社西都ハウジング
専任スタッフ
松尾 重信
資格・免許
宅地建物取引士
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)
公認 不動産コンサルティングマスター