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コラム
inheritance 家族信託について
家族信託の仕組みと権利譲渡の流れ
家族信託は、近年に利用され始めた従来の遺言に代わる新しい制度です。基本的には家族内で財産管理の権利を譲渡できる仕組みであり、自分が所有する資産の管理を生前のうちから信頼できる家族に任せられます。これまでの遺言では相続先が子どもの世代までに限られていましたが、家族信託なら孫やそれ以降の世代を指定しても問題ありません。いろいろな選択肢が用意され、柔軟に財産管理できるところは大きな特徴です。以下には、家族信託による権利譲渡の流れを具体的にご紹介します。
1. 家族信託の目的を明確化 |
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実際に家族信託の手続きを始めるときは、最初に目的を明確に決めることが大切です。何のために財産管理の権利を譲渡するか家族内ではっきり認識できていると、曖昧なまま手続きを進めるよりトラブルを防ぎやすくなります。家族内で目的を話し合った際は、口頭で済ませず文章で明記しておくと誤解を避けられるのでおすすめです。 |
2. 信託契約の具体的な内容を決定 |
家族信託の目的を明確化したあとは、信託契約の内容を具体的に決めていきます。ここで話し合いたい主な項目は、委託者、受託者、受益者や信託する財産についてです。委託者は財産を預ける財産の所有者本人、受託者は委託者から財産を預かり管理する家族、受益者は信託財産から利益を受け取る人が該当します。信託する財産には、不動産をはじめ現金や未上場の株が含まれます。 |
3. 契約内容を記した「信託契約書」を作成 |
次の手続きは、信託契約の内容を書面に記した「信託契約書」の作成です。この段階では、どんな条文構成で契約書を作成するかが大切なポイントになります。条文の書き漏らしがあると信託の目的を果たせなくなる恐れがあり、書類の作成時には十分に気をつけなければなりません。また誤解を招かないため、個々の文章は簡潔明瞭な表現を心がける必要があります。 |
4. 契約書は公証人により公正証書へ |
信託契約書を作成したあとは、公正証書にするのがおすすめです。公正証書は、法務大臣の任命を受けた公証人により作成された公文書を指します。公正証書がおすすめされる主な理由は、誤字や表記ミスを避けられるためです。公証人は手続きのなかで当事者の意思を確認するので、後日のトラブル防止にも効果があります。公証人を探すときは、まず公証人役場に連絡しましょう。 |
5. 不動産の所有者を名義変更 |
信託契約の締結後には、不動産の所有者名義を委託者から受託者に変更します。不動産を信託するとき所有者の名義変更は必須であり、手続きは速やかに済ませたほうがよいと考えられています。一般的に変更手続きは登記申請と呼ばれ、申請窓口は対象物件が所在する地域の法務局です。どの法務局が該当地域を管轄しているかは、法務省のホームページで調べられます。 |
6. 信託専用の口座を開設 |
現金を信託契約する場合、契約締結後に現金を「信託専用の口座」に移す手続きが不可欠です。専用口座が用意されると、受託者は自分自身の財産と信託された財産を別々に管理できます。また預金口座は信託できないため、改めて専用口座を作り元々の預金口座から送金する必要があります。専用口座の開設時には対応可能な金融機関を探し、専用口座である旨を明示することも欠かせません。 |